院長コラム リンガルとともに33年
2000年代編|究極の装置の完成へ
すべては患者さんのために
 ストレートワイヤー法は、ベンドしないですむという点でドクターは楽になるかと言えます。ただ、曲げないで済むことは結果であり、それまでのステップが大切であるという事は、忘れてはいけないことです。ベンドしないためには、すべての課程で間違いがなく、正確である必要があるからです。
 何十年も先を読む棋士のように、先々のことを予想して十分に考えておかなければいけないのです。
 例えれば、車の自動運転に似ているかもしれません。ドライバー自身はハンドルを握らなくても車は安全に走行しますが、それを支えているのは精密なシステムであり、膨大なプログラムの上に成り立っているのです。
 ストレートワイヤーも同様に、ベンドしないで済むという事は、それに至る過程を緻密に計算し、実現を想定して正確にシュミレーションすることが必要です。
 治療の組立や設計なくして、治療ができるのであれば、これほど楽なものはありません。たとえば、患者さんの歯型模型をラボ(技工所)に送って、それに対してコンピュータがシュミレーションし、ロボットがベンドし、ドクターはそれを患者さんに装着するだけで済むのであれば、こんな楽なことはありません。
 ただ、この方法である程度のところまでは治せても、必ずどこかで窮地に陥るのではないでしょうか。それは、治療の課程を考慮していないからです。
 例えば、インターブラケットディスタンス(ブラケット間の距離)が短いところには、ベンドしたワイヤーが入らず、近遠心に歯を動かそうとした時に、そのベンドが邪魔になり、歯をスライドして動かすことが出来なくなります。そうしたことを全く理解せずに治療をしても、結局は治しきれなくなってしまいます。
 特に日本人の場合、クラウディング(叢生)が激しいので、最初からすべてのブラケットをつける事が出来ないことが多く、1個1個細かくつけていく必要があります。このような治療はロボットの治療には向いていないと言えます。
 矯正治療を手掛けるドクターの考えには、2通りあるような気がします。ストレートワイヤーで治療するというドクターと、もう一つはワイヤーベンドが難しいから、そこはロボットに任せるというドクターです。しかし、ロボット任せでは最終的に行き詰まり、結局、治せなくて患者さんに迷惑をかけてしまうことになるのではないでしょうか。
 "すべては患者さんの為に"という考えが根底にあるかないかが問われるのだと思います。

 
 
 
 
 
 
 
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